古堅南小学校

DATA

用途/学校校舎
所在地/沖縄県読谷村
構造・規模/校舎、地域連携室、プール(RC造地上2階8,251.16㎡)
渡り廊下(67.48㎡)、農具倉庫・堆肥小屋(62.10㎡)
竣工年/2024年

-設計主旨-
「緑豊かな楽しい学校」
「安全・安心に児童と地域の人がつながる地域のコア」

 日本一人口の多い村である読谷村内の小学校として1980年(昭和55年)に開校し広大な敷地内には数多くの草木が植えられ木々の木陰を子ども達が駆け回る緑豊かな学校である。
近年では学校区での土地区画整理事業や都市基盤の向上に伴う人口増加が予測されるため、「新たな地域コミュニティの形成」「学校づくりに対する想い」をテーマとした学校づくりを行った。

-設計プロセス-

基本計画では複数のプランを基にワークショップの開催や関係者との意見交換を行い、その中で、歴史ある自然環境の保存と沖縄の気候・風土を考慮した通風や採光計画を基本とし、学校全体に活動と交流が広がる環境整備を目指した。設計段階では「防犯性や災害時利用への配慮」「第一種低層地域に適合した高さ計画」「計画面積の縮減」の見直しを行い、安全性と機能性の向上を図りつつ法的条件整理やコスト管理を行った。

-沖縄の風土を取り入れた外観計画-
校舎棟は県産赤瓦、プール棟は目隠しと通風に適した花ブロックを基本とし、
一部に色ガラスをはめ込んでいる。正門から昇降口までは琉球石灰岩のイメージで
塀やAS舗装を整備し、風土に調和する外観計画としている。

-涼風・採光を呼び込む校舎計画-
南北の縦方向に延びた中心軸の幹から枝のように伸びる5本の横軸を計画、
枝となる各横軸は南北面に開口部を設置することで
夏場の南からの涼風と自然採光を導いている。
中庭は低学年の多目的スペースを含む4方向と繋がり多様な活動に対応する、
屋内階段からはその賑やかな日常が感じられる設えとした。

-多様な学習空間を持つ学年コア-
学年毎にセミオープン型の教室と多目的スペースが一体化した構成で
相互間は開くと閉じるの可変性の中で多様な学習活動が展開できる造りとし、
簡易的な間仕切にもなる可動式棚や、教室内に教師コーナーを設えている。

-地域性への配慮-
嘉手納基地に近い本学校は戦闘機による騒音対策として防音建具を用いて
気密性の高い建物としているため、換気計画では全熱交換機を設置し
室内の空気汚染や冷房エネルギーロスを図り、
室内の反響軽減のためには有孔合板や吸音材を使用し快適な学習環境を設えた。

-地域活動・災害時対応エリアのゾーニング-
地域活動拠点として運動場・教材園・南の森に面した北側に
地域連携室・家庭科教室・新世代型教室、備蓄倉庫を配置し、
地域活動や災害時の対応が可能なエリアとしている。
南の森は既存の樹木を生かしながら、教育の観点で樹種を選別し、
学校の歴史と新たな憩いの空間となる整備を次期工事で行う計画となっている